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Premium Marché 特選野菜 12月・1月は「かぶ」 Premium Marché 特選野菜 12月・1月は「かぶ」
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Premium Marché 特選野菜

12月・1月は「かぶ」

初冬になると、店頭には大小さまざまな紅白のかぶが並び始めます。かぶは白菜や小松菜と同じアブラナ科の野菜で、地域独特の固定種(在来種)も約80種類ほどあると言われているのだとか。春の七草のひとつ「すずな」はかぶの別名であり、古くから日本で育てられていたこともうかがえます。

今回プレミアムマルシェが注目したのは、個性あふれる4種類のかぶ。北欧から岩手県一関市に根付いた山吹色の「矢越かぶ」、遠野の地元高校生が復活させた「琴畑かぶ」、究極の薬味とも称される「暮坪かぶ」、そしてなにわの伝統野菜「天王寺かぶら」をご紹介します。

奇跡的なご縁をつなぎながら地域へ帰ってきた「矢越かぶ」

奇跡的なご縁をつなぎながら地域へ帰ってきた「矢越かぶ」

気仙沼で再発見され矢越に帰ってきたかぶ

幅広でしっかりした葉、鮮やかな紫色の茎を持つ「矢越(やごし)かぶ」。岩手県一関市室根町矢越地区で地域の人に愛されるこのかぶには、戦後に栽培が途絶えてしまったという少し寂しい過去がありましたが、後に気仙沼で育てられていることが判明。さまざまなご縁をつなぎながら再び矢越に帰り、奇跡的な復活を成し遂げています。

糖度が高く雪の中でも凍らない矢越かぶ

糖度が高く雪の中でも凍らない矢越かぶ

2017年11月末日、プレミアムマルシェは矢越かぶの栽培をされている小野寺寛さんの元を訪ねました。ちょうど12月ごろから旬を迎えるとのことで、大きな葉をフサフサと蓄えながら収穫されるときを待つ、たくさんの矢越かぶに出会うことができました。

矢越かぶ

矢越かぶは細い根っこをあちこちに伸ばし、大地の養分をたっぷりと吸収することで甘く育ちます。糖度が高く凍らないため、寒さ厳しい東北岩手の地で3月まで栽培が可能なのだとか。収穫した後は10日~2週間ほど屋根の下で寝かせ、風に当てながら熟成させると、甘みや色がアップ。更に加熱調理することで、鮮やかな山吹色へと変身します。

北欧をルーツにもち明治時代に渡来

北欧をルーツにもち明治時代に渡来

矢越かぶのルーツは「ルタバガ」というスウェーデン由来の品種。明治時代に矢越の種売り行商人から広められたと伝えられています。昭和の食糧難の時代に「かて飯(お米を節約するため、野菜や雑穀などを一緒に炊きこんで増量させたご飯のこと)」の材料として、そして甘味料の代わりとして育てられていました。しかし、戦後に食料事情が変わって栽培されなくなり、矢越かぶの存在自体が消えてしまったのです。

奥さまのご縁をつなぎながら奇跡の復活

奥さまのご縁をつなぎながら奇跡の復活

その後、1994年(平成6年)に町おこしの一環として「矢越地区の名物を見つけよう」と調査が始まります。そこで偶然、小野寺さんの奥さまのご実家がある宮城県気仙沼市大島地区に戦前持ち込まれ、細々と栽培されているかぶの情報が入ります。詳しく調べたところ、それが矢越かぶであったという驚きの事実が判明。大島地区より貴重な種を譲り受けて矢越かぶは地元に帰り、奇跡的な復活を果たしたのでした。

熟成させ加熱することで鮮やかな山吹色に変身

熟成させ加熱することで鮮やかな山吹色に変身

矢越かぶの特長は、見た目からは想像がつかないほど根(胚軸)の部分が鮮やかな山吹色をしているということ。この色は収穫後に10日~2週間ほど熟成させ、更に蒸すなど加熱調理することで引き出されます。さつまいもやくりに近い食感や甘さで、食物繊維・ビタミンC・ミネラルも豊富。

道の駅を始めとする産地直売所では、熟成後の矢越かぶを買うことができます。また、生のまま刻んだものや、蒸してペースト状にしたものを冷凍・真空保存することで、一年を通して矢越かぶを楽しめるようになりました。東北地方で食べられている“おこわ”、「かぶ蒸かし」の材料としても愛されています。地元レストランのシェフも矢越かぶの魅力に惹かれ、グラタンやシチュー、牡蠣と一緒にスープの材料として使っているのだそう。小野寺さんは「おいしい新レシピも次々と作られているし、矢越かぶを知って食べたいと思ってくれる人が増えれば、もっと育てたいと思っている。土地はいくらでもあるのだからね」と話してくださいました。

自分には矢越かぶを広める使命がある

現在、矢越かぶは矢越地区にある7戸の農家と、岩手県立千厩(せんまや)高校の生産技術科の生徒が栽培しています。高校生たちも「自分たちが住む地域の名前がついたかぶを育ててみたい」と興味を持っています。矢越へやってきた新規就農者も、矢越かぶの栽培に協力してくれているのだそう。

「草取りが面倒だから、一般の農家は(矢越かぶの栽培を)やりたがらないかもしれない。でも、そこに農家の生き延びる価値があると思っている。東日本大震災で気仙沼・大島のかぶが全滅してしまったこともあり、小野寺寛と矢越かぶは切っても切れない関係になったので、やれることは何でもやろうと思っているよ」と情熱的に語ってくださいました。

「矢越かぶ」はプレマル市場で取り扱う予定です。また、レストラン「RISTORANTE con fuoco」でもお召し上がりいただけます。
※紹介したレシピとは異なるメニューで提供する場合があります。
※天候や栽培状況などにより入荷しない場合もあります。予めご了承くださいませ。

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